ネット証券会社が手数料を無料化したのはなぜ?大手証券会社5社を徹底比較

大手ネット証券会社が次々と手数料を無料化していますが、「なぜ無料化に踏み切ったのか?」「手数料を無料にすると証券会社はどこから収益を得ているのか?」と疑問に感じていませんか。

結論、ネット証券は、新規顧客の獲得に向けて、2019年より一部の手数料を無料化しているので、投資初心者は無料となる手数料項目が多いサービスを選び、お得に取引を始めることをおすすめします。

この記事では、ネット証券会社が手数料を無料化した理由を詳しく解説した上で、国内主要ネット証券会社5社で手数料が無料化された項目を徹底的に比較し、手数料が特にお得なおすすめの証券会社をご紹介します。

この記事を読めば、あなたの取引スタイルに最適なネット証券会社がすぐにわかり、お得な手数料で最大の利益を獲得できます。

1.この記事の結論

主要ネット証券会社が次々と手数料を無料化していますが、無料化が適用されるための条件が証券会社によって異なるため、自分にとってお得な証券会社を選ぶのが大変です。

さらに、調べるほど「なぜ無料化してもネット証券会社は収益を得ているのだろうか?」とどうしてもわかりにくい点も出てきます。

そのため、結論だけ知りたい!という場合に備え、先にまとめをお伝えします。

結論、国内の主要ネット証券会社が手数料無料化に踏み切った理由は、将来的な管理のAI化に向けた新規顧客の獲得であることがわかりました。証券会社は売買手数料以外にも収益源を確保しているため、手数料を無料化しても経営が成り立ちます。

「無料化された手数料の内容」を総合的に比較した場合、無料化される対象が豊富な以下2社の証券会社を選ぶことをおすすめします。

  • 楽天証券
  • SBI証券

特に、早朝・夜間帯も取引したい場合は『楽天証券』投資初心者でリスクを抑えながら取引したい場合は『SBI証券』を選ぶとよいでしょう。

それぞれの証券会社の手数料について、詳しく紹介します。

楽天証券|早朝・夜間でもお得な手数料で取引できる

楽天証券は、証券所の開場時間外の早朝や夜間もPTSという私設取引所で証券取引ができ、定額プランを選べば1日あたり50万円まで手数料が無料になります。

PTSで早朝も取引ができ、約定代金も無料化を適用しているのは、楽天証券だけです。そのため、日中忙しくて証券取引ができない方や、信用取引を活用して保有資金を上回る金額の取引をしたい方に特におすすめできる証券会社といえます。

また、複数の企業に分散投資ができる投資信託「国内ETF」の信用取引は、今回比較した主要ネット証券5社の中で最多の330銘柄が対象となり、基本的に信用取引を選ぶと手数料が無料化される選択肢が広がる点がメリットです。

SBI証券|投資初心者でも堅実に取引できる

SBI証券は基本的に現物取引を選ぶとお得な手数料体系のため、保有資金内で堅実な取引を行いたい投資初心者の方に、特におすすめできる証券会社といえます。

また、国内ETFの現物取引は、楽天証券に比べて3銘柄多く104銘柄が対象です。取引可能な銘柄数が多く、銘柄選びの選択肢が広がります。

そのため、国内で手数料の無料化を一番最初に発表したネット証券として、口座開設数500万以上と2020年8月時点で国内No.1の人気がある証券会社です。

2.ネット証券会社が手数料を無料にしたのはなぜ?

結論からいうと、日本の主要ネット証券5社は、ネットビジネス業界のAI化を見据えて、早い段階で新規顧客を獲得するために手数料を無料化しました

手数料を無料化した日本の主要ネット証券会社は、以下の5社です。

  • 楽天証券
  • SBI証券
  • auカブコム証券
  • マネックス証券
  • 松井証券

上記のネット証券会社が無料化を後押しした理由を細かく見ると、以下3つが影響しています。

  • アメリカのネット証券業界の影響
  • 収益源の多角化
  • 新規顧客の拡大

それぞれを詳しく解説します。

2-1.アメリカのネット証券業界の影響

2019年10月に、アメリカの最大手ネット証券会社『チャールズ・シュワブ』が米国株・ETF・オプションにかかる手数料を0円にすることを発表しました。

証券会社にとって日々の売買手数料は主要な収益源であり、手数料で収益を上げることが従来のビジネスモデルだったため、この発表は証券業界のマネタイズの歴史を覆し、『TDアメリトレード・ホールディング』や『Eトレード』など、アメリカの競合各社が手数料の無料化を加速させています。

日本でもアメリカの影響を受けて、大手ネット証券会社『SBI証券』が2019年9月に「3年以内に手数料を無料化する」といち早く発表し、国内の主要ネット証券会社も次々と手数料を無料化しています。

2-2.収益源の多角化

主要ネット証券各社による手数料の無料化は、証券事業以外の収益源を確保できている背景が影響しています。

具体的に言うと、各主要ネット証券は、株式の売買手数料で得られる利益に依存せずに済んでいるので、手数料を無料化しても他に収益が得られるビジネスモデルとなっているからです。

この収益源に関しては、後ほど詳しく説明するので、気になる場合は「3.ネット証券会社が手数料を無料化するとどこから収益を得る?」をご覧ください。

2-3.新規顧客の拡大

ネットビジネス業界は、インターネットの進化に伴い、設備投資が限界まで低コスト化されています。

そのため、現在では有人で行っているネット証券会社の売買取引や資産管理などの運用においても、将来的にAI化する可能性が高いです。

流れの早いネットビジネス市況においては、より多くの顧客シェアを獲得することが勝ち残るために最も重要となります。各社が手数料を無料化し、早い段階で新規顧客を獲得しようとしているのが今回の動きです。

3.ネット証券会社が手数料を無料化するとどこから収益を得る?

ネット証券会社は、売買手数料以外に投資家の資産管理の委託証券会社が自己売買で得る利益が主な収益となります。

具体的には、以下6つの収益源があります。

  1. 信用取引で得る金利・貸株料
  2. 信託報酬
  3. 情報料
  4. 投資一任契約の管理手数料
  5. 資産運用に対するアドバイス料
  6. 自己売買で得る収益

それぞれの内容について、詳しく解説します。

3-1.信用取引で得る金利・貸株料

信用取引では、証券会社に借りた株で売買が成立した際に、融資に対する以下3つのコストが生じます。

  • 金利:株を借りたときの貸付に対する手数料
  • 貸株料:株を売るときの株券の貸出し料
  • 逆日歩:取引後に生じる追加の手数料

信用取引は、一定の保証金を証券会社に預け、証券会社から現金や株式を借りて行う取引です。保証金の約3.3倍の取引ができるため、保有資金以上の証券取引を行えます。

それぞれの手数料について、詳しく解説します。

3-2-1.金利

信用取引で証券会社に現金や株式を借りた際に、貸付に対して利子が発生します。料金は証券会社で異なりますが、返済期限が定められている「制度信用」の方が金利が安いです。

前提として、下記「制度信用」と「一般信用」の違いを知っておきましょう。

返済期限 金利(相場)
制度信用 最長6ヶ月 2.8%前後
一般信用 ~3年など長期
期限を設けていない会社もある
3.00%前後

3-2-2.貸株料

信用取引で売買が成立し株式を売る際に、証券会社に借りた株に対して貸出し料を支払います。貸株料率は証券会社によって異なり、市場動向に合わせて銘柄ごとに毎月変化します。

3-3-3.逆日歩

制度信用取引で株式を売った後、取引後に「逆日歩」という手数料が追加で生じる場合があります。市場で自身の売った銘柄の空売り(※)が急増したときのみ生じるため、取引後に逆日歩の有無がわかります。

補足:空売りとは

信用取引を利用し、手元に持っていない株式を借りて売ること。株価下落が見込まれる銘柄を予想して売り、予想通り株価が下落したタイミングで買い戻して差額分の利益を得ることを指します。

逆日歩の金額は市場動向に合わせて日によって異なり、約定日の翌営業日・午前10~12時頃に発表されます。

3-2.信託報酬

投資信託を行っている場合、保有期間中は管理・運用費を証券会社に支払います。信託報酬料率は証券会社によって異なり、「純資産総額に対して年●%」と計算され、信託財産の中から日々自動的に差し引かれます。

3-3.情報料

ネット証券会社のサービスの一環として、無料で提供される投資情報やトレーディングツールのほかに、有料の投資情報コンテンツや高性能のトレーディングツールを用意している証券会社もあります。

専門アナリストの解説や市場の最新情報が得られたり、スピーディーな証券取引に対応できるよう細かな設定ができるトレーディングツールが使用できたり、より質の高い証券取引を後押ししてくれます。

3-4.投資一任契約の管理手数料

投資運用業者に管理手数料を支払うと、銘柄選定から取引に至る資産管理の一連の流れをすべて任せられます。忙しくて取引の時間がとれない方や投資初心者の方に代わり、専門家が資産運用を代行してくれる便利なサービスです。

ただし、株価変動の影響を受けて支払い額より受取額が少なくなるリスクもあるので、よく理解した上で依頼することが重要となります。

3-5.資産運用に対するアドバイス料

ネット証券会社には、以下2つのサービスがあります。

  • カスタマーサービス
  • IFAのサービス

ネット証券会社は総合証券会社と違い、担当アドバイザーがつきません。そのため、資産運用や有益な取引についてアドバイスをしてくれる有料のサービスが用意されています。

それぞれの違いを詳しく説明します。

3-5-1.カスタマーサービス

ネット証券会社には、電話・メール・チャットボットなどのカスタマーサービスが用意されています。

基本的な取引に関する相談は無料で対応してくれますが、カスタマーサービスを介して注文を発注する場合は、約定ごとに別途手数料が発生します。

3-5-2.IFAのサービス

特定の金融機関に属さないIFA(独立系ファイナンシャルプランナー)が、中立の立場で資産運用のアドバイスをしてくれるサービスです。手数料を支払うと、担当のIFAがプロの視点であなたの資産運用に対してアドバイスをしてくれます。

証券取引の知識が浅い初心者の方におすすめのサービスです。

3-6.自己売買で得る収益

証券会社が自社の資金を使い、株式・債券・為替などの売買取引を行うことを「自己売買」といいます。

自己売買で得た利益は、証券会社の貴重な収益源です。

4.大手ネット証券会社の手数料無料化の内容を比較

この章では、各ネット証券会社が2020年に入り手数料を無料化した5つの項目に関して、無料化が適用されるための条件を徹底比較しました。

比較した5つの項目は以下の通りです。

  1. 投資信託
  2. PTS
  3. 国内ETF
  4. 米国ETF
  5. 日計り信用

それぞれ詳しく説明します。

4-1.投資信託

投資家から集めたお金を証券会社がまとめ、専門家が代わりに資産運用し還元してくれる金融商品

4-2.PTS

証券会社を介さずに、証券所の開場時間外も株式を売買できる私設取引システム

4-3.国内ETF

ETFとは「Exchange Traded Fund」の略称で、国内の証券取引所に上場している投資信託を指します。さまざまな銘柄が集まり1つのETFが構成されているため、個別の企業ごとに投資するよりもリスクを抑えて分散投資ができます。

4-4.米国ETF

アメリカの証券取引所に上場している投資信託

4-5.日計り信用

信用取引でその日に売り(買い)に出した銘柄を、その日のうちに買い(売り)戻す取引です。返済期限が当日のため、その日の内に返済されない場合は、証券会社から自動的に返済注文が発注されます。

5.【2020年9月】手数料無料のおすすめネット証券5社

主要ネット証券会社5社それぞれの違いを紹介します。

手数料の無料化を最大限に活用するために、あなたの取引スタイルに一番近い手数料の無料化を実施している証券会社を見つけましょう。

投資信託 PTS 国内ETF 米国ETF 日計り信用
楽天証券 対象商品の買付時 現物・信用取引時
定額プラン:50万円まで
(夜間は現物取引のみ)
現物取引:101銘柄
信用取引:全330銘柄
9銘柄の買付時 取引時
約定100万以上の金利
約定100万以上の貸株料
SBI証券 対象商品の買付時 16:30~23:59内の現物取引時 現物取引:104銘柄
信用取引:-
 9銘柄の買付時 取引時
約定100万以上の金利
約定100万以上の貸株料
auカブコム
証券
対象商品の買付時 信用取引の取引時 現物取引:100銘柄
信用取引:330銘柄
マネックス
証券
すべての買付時 現物取引:3銘柄
信用取引:330銘柄
取引時
松井証券 すべての買付時 現物・信用取引:186銘柄
約定50万円以下
約定100万円以上の金利

国内株式の現物取引・信用取引の売買手数料を確認したい場合は、お得な手数料の証券会社や取引プランの選び方が異なるので「(証券 手数料記事に遷移させる)」をご確認ください。

5-1.楽天証券

楽天証券はSBI証券と並び、手数料を無料化した5項目すべてに対応しているネット証券会社です。早朝・夜間のPTS取引も自身の選んだ手数料コースが適用されるため、定額プランを選ぶと1日あたり50万円までは手数料が無料になります。

また、国内ETFの信用取引の対象は330銘柄と最も充実している点も特徴的です。日中は忙しく早朝・夜間帯に証券取引をしたい方や、取引に慣れてきて保有資金を上回る信用取引も活用したい方に最もおすすめの証券会社です。

5-2.SBI証券

SBI証券は、国内で一番早く手数料の無料化を発表したネット証券会社です。楽天証券同様に、今回比較した手数料を無料化した5項目すべてに対応しています。国内ETFの現物取引は104銘柄が対象で、楽天証券に比べて3銘柄多いです。基本的に現物取引を選ぶとお得な手数料体系となります。

リスクを抑えながら保有資金内で取引をしたい、投資初心者の方に最もおすすめの証券会社です。

5-3.auカブコム証券

auカブコム証券は、ETF取引でも自動売買サービスが使えます。条件を設定すると成立時のみ自動的にアクションを実行してくれるので、リスク管理をしながら取引ができる点がメリットです。

都度注文せずとも自動で取引できるため、こまめな市場チェックや証券取引ができない忙しい方に最もおすすめの証券会社といえます。

5-4.マネックス証券

マネックス証券は国内の主要ネット証券で唯一、米国株取引専用のスマートフォンアプリ「トレードステーション米国株 スマートフォン」を提供しています。アプリ内で簡単に取引ができるため、米国ETFや米国株を中心に取引を行いたい方に最もおすすめの証券会社です。

5-5.松井証券

松井証券の国内ETF取引は、現物取引と信用取引ともに対象の186銘柄内であれば、何度取引しても約定代金が1日あたり50万円まで手数料が無料になります。国内ETFで1日あたり50万円以下の取引を3回以上する方に最もおすすめのネット証券会社です。

まとめ

ネット証券会社が手数料を無料にした背景や理由を解説した上で、国内主要各ネット証券会社5社の無料化される内容を徹底的に比較し、手数料が特にお得なおすすめの証券会社をご紹介しましたが、いかがでしたか?

ネット証券は、新規顧客の獲得に向けて、2019年より一部の手数料を無料化しているので、投資初心者は無料となる手数料項目が多いサービスを選び、お得に取引を始めることをおすすめします。

特に、投資信託やPTS取引など多様な取引方法を活用している方の場合は、この記事で紹介したネット証券会社の中から、自身の取引スタイルが最も近い証券会社を選ぶことがおすすめです。

手数料を無料化したおすすめ証券会社

  • 楽天証券
  • SBI証券

証券会社選びは、あなたの投資の未来を左右する重要な要素の一つです。あなたの証券会社選びが満足いくものとなるよう、心から祈っています。