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信用取引が気になるけれど「どのような仕組みの取引かわからない」「信用取引のリスクについて具体的に知りたい」などと困っていませんか?
結論、「信用取引」とは、一定の自己資金や株式を担保として証券会社に預け、取引に必要な資金や株式を借りて行う株式投資で、自己資金以上の高額取引ができる代わりにリスクも大きい取引なので、投資初心者は注意しましょう。
この記事では、信用取引の基礎知識をわかりやすく解説した上で、現物取引との違いを説明し、信用取引の魅力やリスクについて以下の流れでご紹介します。
この記事を読めば、信用取引の仕組みがすぐにわかり、信用取引の特徴や注意点を具体的に理解できるので、あなたの投資活動の選択肢を広げる強力なサポートとなるでしょう。
1.1分でわかる!信用取引とは
結論、「信用取引」とは、一定の自己資金や株式を担保として証券会社に預け、取引に必要な資金や株式を証券会社に借りて行う株式投資のことです。
信用取引は、あなたの担保額の約3倍の高額取引ができるため、多額の利益獲得を見込める上に、「空売り」という投資手法で株価下落局面でも収益を狙える魅力的な取引方法です。
しかし、信用取引で高額売買を行うと、莫大な損失額が生じる可能性など様々なリスクが存在するので、投資初心者の場合は正しく理解してから取り入れましょう。
2.信用取引の種類
結論、信用取引は、返済期限や対象銘柄などの条件が異なる2種類の取引方法があります。
信用取引の種類は、下記の通りです。
- 制度信用取引
- 一般信用取引
信用取引で最大限の利益を獲得するには、あなたの投資スタイルに合った取引方法を選択することが重要です。
上記の取引方法をどちらにすべきか検討する際、以下4つのポイントを押さえておきましょう。
- 返済期限
- 対象銘柄
- 逆日歩
- 委託保証金
下記表では、それぞれの取引方法の違いを比較しました。
制度信用取引 | 一般信用取引 | |
返済期限 | 6ヶ月以内 | 原則無制限 |
対象銘柄 | 証券取引所の規定を満たす銘柄 | 買建:すべての上場銘柄 売建:証券会社の指定銘柄 |
逆日歩 | 発生する | 発生しない |
委託保証金 | 委託保証金・委託保証金維持率を満たす必要あり |
それぞれの違いを以下で詳しく解説します。
2-1.返済期限
返済期限は、制度信用取引は6ヶ月以内に設定されており、一般信用取引は証券会社と自由に設定できます。
信用取引は、証券会社から資金や株式を借りて取引を行うので、必ず返済する義務があり、返済期限が設定されています。
それぞれの返済期限の違いについて、下記で具体的にご紹介します。
制度信用取引
結論、制度信用取引の返済期限は「6ヶ月以内」です。
制度信用取引は、証券取引所によって返済期限が6ヶ月以内と定められているため、すべての証券会社で返済期限が原則6ヶ月以内に設定されています。
一般信用取引
結論、一般信用取引の返済期限は、証券会社が自由に設定できるので「原則無期限」です。
たとえば、以下のような取引スタイルの場合は、一般信用取引がおすすめです。
- 株式を6ヶ月以上長期保有したい
- デイトレードなどで短期利益を狙いたい
一般信用取引の返済期限は、各証券会社のサービスごとに異なるので、あなたの取引スタイルに応じて最適な証券会社を選びましょう。
ただし、一般信用取引は、制度信用取引と比べて返済期限が長い分、金利や手数料が高く設定されている証券会社が多い点に注意してください。
2-2.対象銘柄
結論、取引できる対象銘柄は、制度信用取引は証券取引所の基準を満たす銘柄のみですが、一般信用取引はすべての上場銘柄を取引できます。
それぞれの対象銘柄について、下記で解説します。
制度信用取引
制度信用取引は、証券取引所が指定した「制度信用対象銘柄」のみ取引できます。
そのため、証券取引所が定める基準を満たした銘柄のみが取引対象となります。
制度信用対象銘柄に選ばれるための主な基準は、下記4つです。
- 上場株式数
- 株主数
- 売買高
- 値付率
制度信用対象銘柄の中でも、売建・買建どちらもできる銘柄を「貸借銘柄」、買建のみできる銘柄を「貸借融資銘柄」と分類されています。
売建・買建の仕組みや特徴について、詳しく知りたい場合は「3.信用取引の仕組み」をご確認ください。
一般信用取引
結論、一般信用取引の売買は、上場しているすべての銘柄を買建できるので、制度信用取引と比べて取引ができる選択肢が多いです。
ただし、売建の場合は、各証券会社が選定した銘柄しか取引できないため、注意しましょう。
2-3.逆日歩
逆日歩は、制度信用取引のみ生じる可能性がある追加手数料のことです。
たとえば、空売りが急増して証券会社の保有株式が不足した場合に、証券会社が不足分を機関投資家から貸りて補う際の手数料は、空売りを行っている投資家が追加で支払う必要があります。
逆日歩の仕組みや特徴について、下記で解説します。
制度信用取引
制度信用取引では、逆日歩が発生する可能性があります。
なぜなら、制度信用取引は、買い注文が殺到した銘柄の保有株式が不足した場合に証券会社自身で機関投資家や証券金融会社から借り入れて補うからです。
そのため、逆日歩が発生した場合は、証券会社が提示した金額を追加で支払うか受け取ることとなります。
ただし、逆日歩の発生有無や金額提示は取引翌営業日に決まるので、取引前に知ることができません。
一般信用取引
一般信用取引では、逆日歩は発生しません。
なぜなら、一般信用取引は、証券会社自身が調達してきた株式を利用するため、機関投資家から株式を借り入れる必要が無いからです。
ただし、一般信用取引は逆日歩が発生しない分、金利や手数料が高めに設定されていることが多いので注意しましょう。
2-4.委託保証金
制度信用取引・一般信用取引は、どちらも共通の保証金に関するルールが定められています。
信用取引で証券会社に納める一定額の現金や株式などの担保を「委託保証金」といい、委託保証金に関する共通ルールが設けられています。
委託保証金に関するルールについて、以下2つを理解しておきましょう。
- 委託保証金率
- 委託保証金維持率
それぞれ下記で詳しくご説明します。
委託保証金率
「委託保証金率」とは、新規信用取引に必要な委託保証金の取引金額に対する割合を指し、法令によって30%以上かつ最低30万円以上であることと定められています。
たとえば、1,000万円の取引を行う場合の委託保証金は、300万円必要です。
さらに、委託保証金は最低30万円以上とも定められているため、取引金額が70万円の場合の委託保証金は、30%の21万円ではなく30万円必要となります。
委託保証金維持率
「委託保証金維持率」とは、取引金額に対する委託保証金の割合のことで、定められた維持率を下回った場合は、追加で委託保証金を支払う必要があります。
信用取引では、取引中の未決済分を「建玉」と呼び、建玉を維持するために必要な委託保証金の割合を「最低委託保証金維持率」といいます。
委託保証金維持率は、株価の値動きによって日々変動する上に、証券会社によって最低委託保証金維持率が異なるので注意しましょう。
3.信用取引の仕組み
結論、信用取引の仕組みは、一定額の委託保証金を担保として、証券会社から資金や株式を借りて取引を行い利益の獲得を目指すことです。
信用取引の取引方法は、以下2パターンです。
- 売建
- 買建
それぞれ下記で詳しくご説明します。
3-1.売建(信用売り)
「売建(信用売り)」とは、将来的に値下がりが予想される銘柄に対して、委託保証金を担保に証券会社から資金または株式を借りて売却し、予想通り株価が下落したタイミングで買い戻して差益を獲得する取引方法です。
現物や取引額を全額保有していなくても先に売りから始められる取引のことを「空売り」とも呼び、基本的に株価が下落すると予想された際に用いられます。
売建の決済方法は以下2つです。
- 返済買い
- 現渡し(品渡し)
それぞれの決済方法を下記で解説します。
返済買い
「返済買い」とは、証券会社から借りた株式を売却し、株価が変動した時点で買い戻す方法で、売却額から買い戻し時の費用や手数料を引いた金額が利益または損失となります。
返済買いによる損益の計算式は、下記の通りです。
(売建値-買い戻し時の株価)×株数-(手数料など) |
返済買いは、株価の下落が見込まれた場合に売却時よりも少ない価格で買い戻せるため、株価下落局面でも利益を得ることができます。
現渡し(品渡し)
「現渡し(品渡し)」とは、売建を行った株式と同銘柄・同株数の現物株を証券会社に返済する方法です。
つまり、将来的に株価下落が見込まれる銘柄を先に空売りして利益を得ることで、実際に下落した際の評価損の相殺を狙うリスクヘッジのために用いられます。
そのため、売建をしても思ったように株価が下がらず、返済買いでは損失が出そうな場合は、現渡しを行うと売建同様の取引金額または損失リスクを防ぐことができます。
3-2.買建(信用買い)
「買建(信用買い)」とは、将来的に値上がりが予想される銘柄に対して、委託保証金を担保に証券会社から資金を借りて株式を購入し、予想通り株価が上昇したタイミングで売却して利益を獲得する取引方法です。
買建の決済方法は、以下2つです。
- 返済売り
- 現引き(品受け)
それぞれの決済方法について、下記で具体的にご説明します。
返済売り
「返済売り」とは、証券会社から借りた資金で株式を購入して、株価が変動した時点で株式を売却する方法のことです。
つまり、売却額から借り入れ時の手数料などを差し引いた金額が利益または損失となります。
返済売りによる損益の計算式は以下の通りです。
(売却時の株価-買建値)×株数-手数料 |
返済売りは、購入後に予想通り株価が上昇した場合に、借り入れ時の資金以上の額で売却できるため、株価上昇局面で利益を得ることができます。
現引き(品受け)
「現引き(品受け)」とは、証券会社に借りた金額と手数料などを手元資金で支払い、株式をそのまま引き取る方法です。
そのため、制度信用で買建をしたものの期日までに株価が上がらない場合は、現引きで株式を引き取ると、引き続き株価を保有し利益回復を目指すことができます。
たとえば、株価1,000円の株式を1,000株購入し100万円で買建した場合は、100万円と手数料などの諸費用を証券会社に支払うと引き続き株式を保有できます。
4.信用取引と現物取引の違い
結論、信用取引と現物取引の違いは、自己資金以上の取引ができることや資金・株式を保有していなくても取引が始められるか否かです。
あなたが信用取引で最大限の利益を獲得するために、以下4つのポイントを押さえておきましょう。
- 取引期限がある
- 取引手数料以外のコストがかかる
- 「売り」から取引できる
- 自己資金の約3倍の金額で取引できる
それぞれ下記で詳しくご紹介します。
4-1.取引期限がある
結論、現物取引に期限はありませんが、信用取引は期限が定められている場合があります。
それぞれの取引期限について、下記で具体的にご説明します。
現物取引
現物取引は、自身の保有資金や株式を取引するので、決済に期限はありません。
信用取引
信用取引は、証券会社から資金や株式を借りて取引するため、基本的には返済期限までに決済を終えて返済する必要があります。
また、無期限信用取引を証券会社と契約した場合は原則返済期限はありませんが、証券会社が株式調達困難になった場合などに返済期限が設けられる場合があります。
信用取引の返済期限について、詳しく知りたい場合は「2-1.返済期限」をご確認ください。
4-2.取引手数料以外のコストがかかる
結論、現物取引は取引手数料以外かかりませんが、信用取引は様々なコストが生じる可能性があります。
それぞれの取引で生じるコストについて以下で詳しく解説します。
現物取引
現物取引で生じるコストは、取引手数料のみです。
そのため、株式を長期保有しても特別なコストはかかりません。
国内の主要ネット証券会社の取引手数料について、詳しく知りたい場合は「証券 手数料」をご確認ください。
信用取引
信用取引は、取引手数料のほかに状況に応じて様々なコストがかかります。
信用取引で発生する可能性があるコストは、以下5つです。
- 信用金利
- 貸株料
- 逆日歩
- 信用管理費
- 名義書換料
また、売建・買建によって生じるコストも異なるので、下記で併せてご紹介します。
●信用金利
「信用金利」とは、証券会社から資金を借りた際に支払う金利のことで、買建の約定代金に対して発生します。
●貸株料
「貸株料」とは、証券会社から株式を借りるために支払う費用のことで、売建の約定代金に対して発生します。
●逆日歩
「逆日歩」とは、空売りが急増して証券会社の保有株式が不足した場合に、証券会社が機関投資家から不足分の株式を借り入れるために支払う手数料のことです。
逆日歩で発生する手数料は、空売りを行っている投資家が支払う必要があります。
逆日歩が生じる理由や算出方法について、詳しく知りたい場合は「2-3.逆日歩」をご確認ください。
●信用管理費
「信用管理費」とは、証券会社から資金や株式の借り入れ期間中に支払う費用のことで、建玉の保有期間に応じて1ヶ月ごとに発生します。
●名義書換料
「名義書換料」とは、買建玉を権利落ち日(決済期末)をまたいで保有している場合に発生する権利処理手数料のことで、権利落ち日に発生するかがわかります。
4-3.「売り」から取引できる
結論、現物取引は保有資金内で株式を買うことから取引を始めますが、信用取引は証券会社から資金や株式を借り入れて売り取引から始められます。
つまり、信用取引は、実際に手元に現物株式や取引額を全額保有していなくても、売買を行うことができるのです。
それぞれ取引の始め方について、下記で具体的にご説明します。
現物取引
現物取引は、株式を買うところから始めます。
なぜなら、現物取引は自己資金内で取引を行うので、最初は株価が下がっているタイミングで購入し、株価が上がったらで売却して値上がり益を狙うことから始めるからです。
信用取引
信用取引は、株式の買い・売りどちらからでも始められます。
なぜなら、信用取引は証券会社から資金や株式を借りて売る「売建」取引ができるので、実際に保有していない銘柄の「売り注文」も出すことができるからです。
信用取引の売建・買建の特徴や仕組みについて、詳しく知りたい場合は「3.信用取引の仕組み」をご確認ください。
4-4.自己資金の約3倍の金額で取引できる
結論、現物取引では、自己資産内で取引を行いますが、信用取引は自己資金や保有株を担保として担保額の最大約3倍まで取引ができます。
それぞれの取引について下記で解説します。
現物取引
現物取引は、自己資金の範囲内で行うため、保有資産額を超えた金額の取引はできません。
信用取引
信用取引は、自己資金や保有株を「証拠金」という形で担保として証拠金の最大約3倍の高額で取引ができます。
証拠金を担保として自己資金以上の取引を行うことを「レバレッジ」と呼び、予想通りに相場が変動すると大きな収益の獲得を見込めます。
5.信用取引の魅力3つ
結論、信用取引は、レバレッジをかけて自己資金以上の取引を行える上に、同日中に同じ銘柄を何度でも取引できるので、利益を獲得するための機会が多い取引といえます。
信用取引のメリットを細かく分けると、以下3つです。
- レバレッジで自己資金以上の取引ができる
- 「空売り」で株価下落時にも収益が見込める
- 同日中に同じ銘柄を何度でも取引できる
それぞれ下記で詳しく説明します。
5-1.レバレッジで自己資金以上の取引ができる
信用取引は、自己資金や保有株式を担保とすることで約3倍の金額までレバレッジをかけて取引できるので、少ない自己資金で高額取引ができます。
そのため、取引額を全額用意する必要が無い上に、自己資金以上の高額売買ができるので、予想通りに相場が変動すると大きな利益の獲得が見込めます。
5-2.「空売り」で株価下落時にも収益が見込める
信用取引は、証券会社から資金または株式を借りて売却し、株価が下落したタイミングで買い戻すことで差額分の利益を得られます。
そのため、信用取引を活用すると、株価下落時でも利益を獲得するチャンスを得ることができ、あなたの投資活動の選択肢が広がるでしょう。
たとえば、株価が下落すると予想される銘柄を100万円分借りて先に売却し、実際に株価が80万円に下がったタイミングで買い戻すと、差額分の20万円があなたの収益となります。
5-3.同日中に同じ銘柄を何度でも取引できる
信用取引は、保証金の枠内であれば同日中に同じ銘柄を何度でも売買できるため、現物取引と比べて取引の回転が早く、効率的に投資活動を行うことができます。
たとえば、信用取引は、新しく買建・売建した銘柄を同一日に反対売買すると担保としていた保証金が開放されるので、再び同じ保証金を担保として何度でも取引できます。
そのため、短期で何度も取引できる信用取引は運用効率が良く、デイトレードなど取引サイクルが早い投資活動との相性が良いです。
6.信用取引のリスク6つ
結論、信用取引は、自己資金以上の高額取引ができる反面、返済期限や損失リスクに注意する必要があるので注意しましょう。
信用取引のリスクを細かく分けると、以下6つです。
- レバレッジの反動で高額損失を被る
- 返済期限内に利益が出せない
- 追加保証金が発生する
- ダイレクト信用取引で市場変動の影響を受ける
- 空売りした銘柄が予想に反して値上がりする
- 逆日歩で追加手数料が発生する
それぞれのリスクについて、下記で詳しく説明します。
6-1.レバレッジの反動で高額損失を被る
信用取引でレバレッジを活用して取引した場合は、自己資金以上の高額取引を行うため、相場が予想通り動かないと自己資金よりも大きな損失額が生じる可能性があります。
下記表では、100万円の自己資金を元手に現物取引・信用取引で取引を行った結果、株価が半分に下落してしまった場合の損失額を比較しました。
現物取引 | 信用取引 | |
株式購入時 | 100万円 | 300万円 (レバレッジを3倍かけた場合) |
株価1/2下落時 | 損失額:50万円 (100万円→50万円) | 損失額:150万 (300万円→150万円) |
上記のように、現物取引の損失は自己資金内で収まりますが、信用取引でレバレッジをかけた場合は損失額が自己資金を上回り、50万円の負債を抱えてしまいます。
なぜなら、レバレッジ効果で自己資金の3倍をかけて取引しているので、その分損失も3倍となるからです。
レバレッジには自己資金以上の投資額を動かせるメリットがある一方、予想に反して株価が大幅に下落してしまうと、莫大な損失が生じるリスクがあるので注意しましょう。
6-2.返済期限内に利益が出せない
信用取引には返済期限があるため、期限内に取引を終わらせる必要があり、市場動向によっては、思ったような利益を出せないまま決済の日を迎える場合があります。
たとえば、「制度信用取引」は、返済期限が6ヶ月以内と定められているため、期日までに必ず決済を行い、証券会社に返済する義務があります。
また、証券会社によって「一般信用取引」でも返済期限が定められていることがあり、決済期日までに思ったような利益を獲得できない可能性があります。
6-3.追加保証金が発生する
委託保証金が「最低委託保証金維持率」を下回った場合は、追加で委託保証金を入金しなければなりません。
この追加で入金する委託保証金のことを「追証(おいしょう)」と呼び、期日までに追証を入金しなければ、証券会社に取引を強制決済されてしまいます。
追証が発生する状況は、以下2パターンです。
- 担保にしていた株式が値下がりした場合
- 売り建てた・買い建てた株式が値下がりした場合
追証の発生が確定してから入金期日までは短く設定されている場合が多いので、追証が発生したらすぐに入金額と期日を確認するように注意しましょう。
追証を解消する方法は、以下3つです。
- 現金を信用口座に入金する
- 預り金を保証金に振替える
- 信用取引建玉の一部またはすべてを決済して追証に充てる
また、一度追証が発生してしまうと、その後株価が回復したとしても発生した分の追証を入金しなければなりません。
そのため、委託保証金維持率を下回る恐れのある運用は避けるようにしましょう。
委託保証金維持率や委託保証金の仕組みについて、詳しく知りたい場合は「2-4.委託保証金」をご確認ください。
6-4.ダイレクト信用取引で市場変動の影響を受ける
ダイレクト信用取引は、市場変動が株価に影響を及ぼすため、市場の動向によって損失が発生し、損失額が委託保証金を上回る可能性があります。
なぜなら、ダイレクト信用取引は、通常の信用取引と比べて委託保証金を割安に設定している証券会社が多いので、相場変動時の影響を受けて委託保証金を上回りやすいからです。
委託保証金に対して損失を与える要因は、主に以下4つです。
- 政治
- 経済
- 金利
- 発行者の業務・財産状況
また、ダイレクト信用取引には取引期間に制限があるため、あなたが希望するタイミングで取引できるとは限らないので注意しましょう。
ダイレクト信用取引とは
「ダイレクト信用取引」とは、各証券会社が提供する信用取引サービスです。
割安な委託保証金や手数料形態で信用取引を始めることができる上に、金利も低く設定されているので、投資コストを抑えながら信用取引を行えます。
6-5.空売りした銘柄が予想に反して値上がりする
株価下落を予想して空売りをした場合に、予想に反して株価が上昇すると、上昇した分だけ損失額が広がってしまうので注意しましょう。
たとえば、買建をした場合は、株価はどんなに下がっても0円ですが、株価上昇には上限が無いので、損失額が無限に上がってしまう可能性があります。
そのため、空売りしている株価が上昇している局面では、損失の拡大を防ぐために早めのタイミングで損切り判断することをおすすめします。
損切りとは?
「損切り」とは、損失が生じている保有株式を売却し、損失額を確定させることです。
つまり、株価下落による損失額を拡大させないために、損切りを行い損失額を確定させると確定時点以上に損失額が膨らまないようにできます。
6-6.逆日歩
制度信用取引で逆日歩が発生した場合は、空売りをしている投資家に追加手数料の支払いが命じられる場合があります。
なぜなら、証券会社に資金や株式を借りて取引を行う売建では、証券会社の保有株式が足りなくなった場合に証券金融会社や銀行など機関投資家から不足分を調達しますが、その際の手数料を投資家が支払う決まりだからです。
逆日歩の仕組みや注意点について、詳しく知りたい場合は「2-3.逆日歩」をご確認ください。
まとめ
信用取引の基礎知識をわかりやすく解説した上で、現物取引との違いを説明し、信用取引の魅力やリスクをご紹介しましたが、いかがでしたか?
「信用取引」とは、一定の自己資金や株式を担保として証券会社に預け、取引に必要な資金や株式を借りて行う株式投資で、自己資金以上の高額取引ができる代わりにリスクも大きい取引なので、投資初心者は注意しましょう。
今回の記事を参考に、信用取引の仕組みや注意点について理解し、自己資産以上の損失を被ることなく安全に投資活動を行えるよう祈っています。
7.信用取引によくあるQ&A
この章では、信用取引に関する代表的な疑問について解説します。
あなたが信用取引で最大限の利益を獲得するためには、信用取引の仕組みについて正しく理解することが重要です。
実際に信用取引を始める前に必ず確認しましょう。
信用取引で配当金や株主優待は受け取れる?
結論、信用取引は、配当金や株主優待は受け取れませんが、買建をしている場合は、証券会社から配当金に相当する金額を「配当落調整金」として受け取ることができます。
なぜなら、信用取引は、証券会社から資金や株式を借りて行う取引方法なので、株式の所有者は証券会社名義となり、投資家は株主になれないため、証券会社を介して配当金相当の収益を受け取るからです。
ただし、売建を行っている場合は、本来であれば名義人の証券会社が配当金を受け取るべきなので、配当落調整金として相当額を証券会社に支払う必要があります。